痛風も糖尿病も生活習慣から引き起こされることが多い病気という共通項はありますが、どれくらいの関係性があるのか。
◆ 糖尿病とはどんな病気?
食事から糖質を摂ると血中にはブドウ糖が増えます。その血中のブドウ糖はインスリンの働きで細胞に吸収されエネルギーとして使われるのですが、糖質過多な食生活や運動不足などを続けると、膵臓から分泌されるインスリンの働きが弱くなり、血糖値がなかなか下がらなくなります。この血糖値が高い状態である高血糖が持続すると糖尿病になります。
◆ 糖尿病のタイプ
糖尿病は、2つにタイプが分かれます。Ⅰ型糖尿病は、血糖値を下げるためのインスリンを作り出す膵臓のβ細胞が破壊されてしまいインスリンが全く出なくなります。Ⅰ型糖尿病は自己免疫疾患やウイルス感染などでβ細胞が壊されてしまうのが原因です。
Ⅱ型糖尿病は、インスリンを作る膵臓の機能が弱っている状態、もしくはインスリンの量は足りているのですが、細胞への糖質の取り込みが弱い状態(インスリン抵抗性)です。その結果、血糖値が下がりにくくなります。生活習慣病として発症する糖尿病は、このタイプになります。
◆ 痛風の人は糖尿病を合併している率は高い?
実際、痛風と糖尿病の合併率はそれ程高くありません。痛風患者が糖尿病を合併しているのは、1割程度です(痛風の合併症で一番多いのは高血圧)。
では、糖尿病とは関係ないから安心なのでしょうか。実は、痛風になっている人は糖尿病一歩手前の「耐糖能異常」になっている場合は多いので(約50%)、油断はできません。
◆ 耐糖能異常とは
耐糖能異常は糖尿病の一歩手前の状態である糖尿病予備軍のことです。耐糖能とは血液中の糖を正常値に戻し、保つ力のことをいいます。
糖質を体の中に摂り入れると、消化吸収されてブドウ糖に変わります。このブドウ糖は血液中にあるのですが、膵臓が作るインスリンの働きで栄養分として細胞の中に入るので、血液中のブドウ糖は当然減ります。しかし、このインスリンの働きに問題があるのが、耐糖能異常です。
高尿酸血症の状態になる生活習慣をしている人は肥満状態であることが多いので、それも原因のひとつとなり、この耐糖能異常になってしまうことも少なくありません(肥満により内臓脂肪が多くなるとインスリンが効きにくくなる)。
ですので、痛風(高尿酸血症)と耐糖能異常の共通項である肥満を食生活や運動で改善しなくてはいけません。
肥満を解決する方法とは
肥満になると体脂肪が増えてきますが、問題になるのが内臓脂肪です。この内臓脂肪があるとインスリンの効きが悪くなり、 先ほどお伝えした耐糖能異常になりやすくなります。
内臓脂肪を減らす効果が高いのが「糖質を制限すること」です。実は脂質よりも糖質の方が内臓脂肪になりやすいですので、糖質を減らすことで脂肪の蓄積を防ぐことができます。
糖質を制限するメリットは他にもあり、それは内臓脂肪が分解されやすくなることです。それはなぜなのか。食事から摂りいれたブドウ糖をエネルギー源として細胞は使っていますが、糖質を制限するとブドウ糖の絶対量が少ないために、エネルギーが足らなくなります。その足りない分は脂肪を分解して、それをエネルギーとして使うので、内臓脂肪の減少につながるのです(参考記事「糖質制限の理解で必要なケトン体と糖新生とは」)。
ですので、痛風や糖尿病(もしくは予備軍)の人は試しに糖質制限を実践するのがいいです。
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