これからタバコと痛風の関係性について説明しますが、一般の人のタバコのイメージは決して良いものではありません。ですので、タバコを吸っていると痛風に良くないのではないかと思う人が多いですが、少し違います。
◆ 喫煙すると痛風に影響はあるのか
タバコは不健康で、あらゆる病気の原因になるというのが一般の人のイメージです。ですが、痛風にダイレクトに作用して発症、悪化させたりするのでしょうか。
痛風は、遺伝的な問題や食生活の乱れなどによって起こりますが、喫煙をすることで痛風になってしまう、ということはありません。逆に、喫煙する人は、痛風になりにくいという研究もあるくらいです。以前から、喫煙が痛風の原因である尿酸値を下げるという報告があり、それらの関係性を調べている研究機関もあります。
◆ 喫煙する人は痛風になりにくいという研究
タバコを吸う人は痛風になりにくい研究は、米国リウマチ学会の中でスタンフォード大学のワン氏らによって発表されていますが、タバコに含まれる何の成分が影響しているのか、理由はよく分かっていません。
この研究では女性に関しては喫煙していることが痛風の発症に関連しているかは「不明」ですが、男性に関しては、喫煙は痛風の予防に関連していることが示されています。今後は、どの成分が尿酸値を下げる効果があるのかなど、理由の解明が進む可能性があります。
[補足]
こういう研究の信憑性を確認することは難しく、例えばこの研究の費用をタバコメーカーが出している可能性もあり、そうするとメーカーに有利な結果が出ます。
例えばノバルティスファーマ社の社員が薬(ディオバン)の臨床研究を頼んでいた大学に深く関わってデータを改ざんした事件がありましたが、これと同じ事が起こる可能性がある訳です。
◆ タバコを吸うリスク
タバコを吸う習慣があるからと言って、痛風を発症、悪化させるわけではないことはここまでで説明した通りです。
しかし、喫煙していると、痛風以外の病気になる可能性は十分にあります。例えば、動脈硬化や脳梗塞などの血管系の病気は、タバコを吸うことが引き金になる可能性もあるので、喫煙自体、お勧めはできません。
また、喫煙は膵臓の機能を悪くするので、インスリンの分泌がきちんとされなくなります(インスリンとは上がり過ぎた血糖値を下げる作用があります)。そうすると、血糖値が上がって糖尿病になってしまいますので、やはり、お勧めはできません。
また、よく聞くと思いますが、喫煙はガンのリスクも高めるので、喫煙が痛風の予防に関連している可能性があっても、他の病気のリスクがある以上、吸いすぎは良くありません(参考記事「今井雅之さんを襲った大腸癌。予防する方法はあります」)。
自分で禁煙が困難な方は、禁煙外来で指導してもらうこともできますので、受診をお勧めします。
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