痛風になると、関節に激痛が起こりますが、このとき関節内で炎症を起こしているのが白血球になります。白血球は、どんな人の体にも存在する免疫細胞ですが、痛風の時にはどのような働きをするのかを説明していきます。
◆ 白血球とは何物?
白血球は、私たちの体に入ってきた細菌やウイルスなどの異物を自分の中に取り込んで、処理してくれる有り難い免疫細胞です。白血球には種類があり、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類です。これらの白血球は、体の中にどんな異物があるかで担当が違うことから、どの種類の白血球が増えているかを検査すると、病気の診断に役立ちます。
例えば、好中球が増えていたら細菌に感染している可能性や炎症を起こしていることが考えられますし、好酸球が増加しているとアレルギーを起こしている可能性などが考えられるのです。
◆ 痛風発作のときの白血球の役割
痛風になるメカニズムは、体の中の尿酸値が高くなり、結晶化を起こすと、関節にその結晶(尿酸塩結晶)が溜まっていきます。これに何らかの衝撃が加わると、骨と骨の隙間(関節腔)に尿酸塩結晶が放出されます。すると、白血球が尿酸塩結晶を取り除こうとやってきます。この尿酸塩結晶を除去する過程で、白血球が出す炎症性の物質が関節をパンパンに腫れ上がらせるのです。ちなみにこのときに働く白血球の種類は、好中球が多いです。
◆ 白血球の働きを弱める薬「コルヒチン」
白血球が、尿酸塩結晶を一所懸命に取り除こうとしてくれても、痛風発作の激痛は耐え難いものがあります。そこで、痛風発作が起こりそうな前兆がある場合や、発作が起こりはじめたら、コルヒチンという薬を使用するのが効果的です。
コルヒチンは、白血球の働きを弱める作用があるので、関節の尿酸値を除去しようとやってくる白血球を抑えます。しかし、コルヒチンは痛風の発作を抑えてはくれますが、尿酸値を下げて、痛風そのものを改善してくれる作用はありません。つまり、根本的に痛風を治す薬ではないのです。あくまでも一時的な薬であることを理解した上で、使用する必要があります。
なぜなら、コルヒチンで白血球を抑えるということは免疫力が落ちることを意味しているので、軽い気持ちで飲んでいい薬ではありません。コルヒチンはベーチェット病という難病でも使われる薬です。EXILEのMATSUさんはベーチェット病であると告白していますが、この病気は白血球による暴走が原因で関節、目、血管などに炎症を起こします。
本来であれば薬を飲まなくても済むように尿酸値が高くならないような食生活や生活習慣を取り入れるのが一番体にとって良いです。ストレスを貯めないようにしたり、アルコールを摂りすぎないなど薬のお世話になる前にやれることはたくさんあります。
[参考記事]
「痛風とアルコールの関係」
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