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痛風の数値が異常値の9以上でも発症しないことはあるのか

健康診断で「尿酸値が9.0mg/dL以上」と言われると、多くの方が「痛風になるのでは」と心配になります。


しかし実際には、尿酸値が高くても痛風を発症しない人もいます。逆に、数値がそれほど高くなくても発作を起こす人も存在します。

この記事では、「尿酸値9mg/dL以上でも痛風を発症しないのはなぜか」をテーマに、最新の医学的知見をもとに解説します。


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痛風と尿酸値の基本

痛風は、血液中の尿酸(尿酸塩)が関節に結晶として沈着することで起こる炎症性疾患です。
尿酸はプリン体の代謝によって生成され、腎臓を通じて尿として排出されます。

正常な尿酸値の目安は以下の通りです。

  • 男性:3.6〜7.0mg/dL

  • 女性:2.6〜6.0mg/dL

尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を「高尿酸血症」と呼びます。この状態が続くと、やがて尿酸結晶が関節に蓄積し、痛風発作が起こるリスクが高まります。


尿酸値9mg/dLでも痛風を発症しない理由

1. 尿酸結晶の沈着には個人差がある

尿酸値が高くても、すぐに関節内に結晶ができるわけではありません。
尿酸は血液中で「過飽和」状態になると結晶化しますが、これには温度やpH(酸性度)などの条件が関係します。

  • 体温が高いほど結晶はできにくい

  • 関節のように温度が低く、血流が悪い場所では結晶化しやすい

つまり、尿酸値が高くても結晶が形成されにくい体質の人では、発作が起きないことがあります。


2. 尿酸結晶が免疫に“認識されていない”

痛風発作は、尿酸結晶が免疫細胞(白血球)に「異物」として認識され、炎症が起こることで発症します。
したがって、関節に尿酸結晶が存在していても、免疫が反応しなければ症状は現れません。

このように、「結晶がある=発作が起こる」ではない点が痛風の難しさです。


3. 生活習慣や脱水の影響

痛風発作のきっかけには、尿酸値の高さだけでなく、急激な尿酸濃度の変化が関係しています。

以下のような要因があると発作が起きやすくなります:

  • 飲酒(特にビールや焼酎などプリン体を多く含むもの)

  • 脱水(尿酸が濃縮される)

  • 急なダイエットや断食

  • 激しい運動

  • ストレス

逆に、これらの要因が少ない生活をしている人では、尿酸値が9mg/dLを超えていても発作を起こさないことがあります。


痛風発作を起こしやすい人の特徴

尿酸値が同じでも、痛風を発症しやすい人とそうでない人がいます。以下の要素があるとリスクが高まります。

発症リスク要因 内容
家族歴 親や兄弟に痛風歴があると発症率が高い
肥満・メタボリックシンドローム インスリン抵抗性により尿酸の排泄が低下
高血圧・腎機能低下 尿酸の排出能力が低下
多量飲酒 尿酸産生が増加、排泄も阻害される
プリン体の多い食事 内臓類、魚卵、肉の過剰摂取など

特に、肥満と飲酒習慣がある人では、尿酸値が9mg/dLを超えた段階で発作のリスクが顕著に上昇します。


無症候性高尿酸血症の危険性

尿酸値が高くても痛風発作を起こしていない状態を無症候性高尿酸血症といいます。
この段階では「痛くないから大丈夫」と思いがちですが、放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があります。

主なリスク

  • 腎臓に尿酸結晶が沈着し、尿路結石痛風腎を発症

  • 血管内皮障害を起こし、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞のリスク上昇

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症の悪化

つまり、痛風発作がなくても、「尿酸値9mg/dL」は放置してはいけない数値です。


治療と予防の考え方

1. 食事療法

  • プリン体を多く含む食品を控える(レバー・白子・干物など)

  • アルコールを減らす(特にビール、日本酒)

  • 水分を多くとる(1日1.5〜2L)

  • 野菜・海藻・乳製品を積極的に摂取

2. 適度な運動

肥満は尿酸排泄を妨げます。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動が推奨されます。
ただし発作中の運動は厳禁です。

3. 薬物療法

尿酸値が8mg/dLを超えて持続している場合、または腎障害や心血管リスクがある場合には、医師の判断で以下の薬が使われます。

  • 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)

  • 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)

医師の指導のもと、発作がなくても治療を開始するケースがあります。


まとめ

  • 尿酸値が9mg/dL以上でも、痛風を発症しない人は存在する

  • ただしそれは一時的なもので、長期的には合併症リスクが高い

  • 結晶化しにくい体質や、免疫反応が起きないことが無症状の理由

  • 痛風発作がないからと放置せず、生活習慣の改善と定期的な検査が重要

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