痛風(つうふう)は、主に尿酸が体内に過剰に蓄積され、それが結晶となって関節に沈着することによって引き起こされる疾患です。
通常、痛風は足の親指の関節に激しい痛みと腫れを伴う急性の発作として現れることが多いですが、放置すると長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
痛風を放置した場合の経過について、また、命に関わるリスクについても詳しく説明します。
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痛風の原因と進行
痛風は、尿酸という物質が体内で過剰に生成されたり、腎臓が尿酸を十分に排出できなかったりすることが原因で発症します。
尿酸は、プリン体という物質が分解されて生成されるのですが、過剰に摂取されたり、腎機能が低下していると、尿酸の濃度が高くなります。高い尿酸濃度は、関節などに尿酸結晶を作り、その結晶が痛みや炎症を引き起こすのです。
痛風の初期段階では、激しい関節痛が数日続き、数週間で収まることが多いです。しかし、治療を行わずに放置すると、病気が進行する可能性が高く、以下のような影響が出てきます。
1. 急性発作の再発と悪化
痛風の急性発作が一度起こると、その後も繰り返し発作が起こることがよくあります。発作が繰り返されるたびに、関節に蓄積される尿酸結晶は増えていきます。
この尿酸結晶が関節内に沈着することで、関節の炎症が慢性化し、関節破壊が進行する可能性があります。
繰り返される急性発作は、痛風患者の生活の質を著しく低下させ、痛みが強くなるだけでなく、関節の可動域が制限されることもあります。放置することで、最終的には関節が変形し、機能が損なわれることがあるため、早期の治療が非常に重要です。
2. 関節の破壊と痛風性関節炎
痛風を長期間放置すると、関節内に尿酸結晶が蓄積し、痛風性関節炎が慢性化します。これにより、関節の軟骨や骨が破壊され、最終的には関節が変形します。この段階に進行すると、治療が困難になり、手術を必要とすることがあります。
変形した関節は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、疼痛や機能障害が続くことになります。
さらに、痛風によって破壊された関節は、他の疾患を引き起こすリスクを高めることがあります。例えば、関節の炎症が慢性化することで、他の種類の関節炎を引き起こす可能性があります。
3. 尿酸結石と腎機能障害
痛風の進行により、尿酸結晶が腎臓に蓄積することがあります。この状態を「尿酸腎症」と呼び、尿酸結晶が腎臓内で結石を形成することがあります。
尿酸結石が大きくなると、尿路を塞ぎ、尿の排出が妨げられ、腎機能障害を引き起こすことがあります。腎機能が低下すると、尿酸が体内に蓄積され、悪化した痛風がさらに進行する悪循環に陥ります。
尿酸腎症は、尿路結石や腎不全の原因となるため、治療が遅れると命にかかわるリスクを伴います。最悪の場合、腎不全に至ることがあり、その際には透析治療や腎臓移植が必要になることもあります。
4. 心血管疾患のリスク増加
痛風患者は、尿酸濃度が高い状態が続くことで、動脈硬化や高血圧、心臓病のリスクが増加することが知られています。尿酸が体内で酸化されることによって、血管内で炎症を引き起こし、動脈硬化を進行させる原因になるのです。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管疾患を引き起こすリスクが高まります。痛風が原因で心血管疾患を発症した場合、命に関わる可能性があるため、早期に対処し、尿酸値をコントロールすることが重要です。
5. 他の合併症
痛風は、腎臓や心血管系に対するリスクを高めるだけでなく、糖尿病や高血圧、肥満などの疾患とも関連しています。これらの疾患と痛風が同時に存在することで、患者の健康状態は悪化し、治療が難しくなることがあります。特に、痛風が進行して腎機能が低下することで、糖尿病のコントロールが難しくなり、血糖値の管理が複雑化する可能性があります。
また、痛風による炎症が体内で長期間続くと、全身的な健康に悪影響を与えることもあります。慢性の炎症が進行すると、免疫系に影響を与え、感染症にかかりやすくなることがあります。
痛風が命にかかわる場合
痛風自体は直接的に命を奪う疾患ではありませんが、放置することで引き起こされる合併症が命に関わることがあります。尿酸腎症や心血管疾患、腎不全などが進行すると、命に関わる危険な状態に至ることがあります。特に腎機能が著しく低下すると、命を維持するためには透析が必要となり、移植を待たなければならない状況になることもあります。
また、痛風による関節の変形や機能障害が進行すると、日常生活に支障をきたし、社会生活や仕事に大きな影響を与えることもあります。これらの症状が原因で精神的なストレスが増し、生活の質が大きく低下することがあり、精神的な健康にも影響を与えることがあります。
結論
痛風を放置すると、関節の変形や腎機能の低下、心血管疾患などの合併症を引き起こし、最終的には命に関わるリスクが高まります。痛風が進行すると、治療が難しくなり、生活の質が大きく低下することが避けられません。
したがって、痛風の兆候が現れた場合、早期に医師の診断と治療を受けることが非常に重要です。尿酸値をコントロールし、生活習慣を改善することで、痛風の進行を防ぐことができます。
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