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猫や犬も痛風になるのか

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1. 痛風とは?

痛風(gout)は、主にヒトに見られる代謝性疾患で、体内において**尿酸(にょうさん)**が過剰に蓄積されることで発症します。尿酸はプリン体という物質の代謝産物で、血液中の尿酸濃度が高まると「高尿酸血症」となり、やがて関節に尿酸塩(尿酸の結晶)が沈着して炎症を引き起こします。これが「痛風発作」と呼ばれる強い関節痛の正体です。

ヒトの痛風の主な特徴は次の通りです:

2. 猫や犬に痛風はあるのか?

結論:人間のような痛風は基本的に発症しない

犬や猫では、ヒトと異なる代謝経路をもつため、体内で尿酸があまり蓄積しません。これは、彼らの肝臓が尿酸を「アラントイン」という水溶性物質に分解できるためです。

このため、犬や猫ではヒトのような「高尿酸血症」や「痛風」は極めてまれです。

ただし、「痛風のような症状(関節炎や関節内の結晶沈着)」がまれに起きることがあります。それが以下に説明する「尿酸塩結晶の蓄積」や「偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶性関節炎)」です。


3. 犬や猫に起こる「痛風様症状」の原因

(1) 尿酸塩尿症(尿酸アンモニウム結石)

特定の犬種(特にダルメシアン)では、尿酸の代謝に異常があり、尿中に尿酸や尿酸塩が多く排出され、これが**結石(しばしば膀胱結石や腎結石)**として沈着することがあります。

※ただし、この状態はヒトの痛風とは異なり、関節には影響しません

(2) 偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶性関節炎)

犬では、ピロリン酸カルシウム結晶が関節内に沈着し、炎症を起こす「偽痛風」がまれに報告されています。

ただし、この疾患は非常にまれで、痛風と明確に区別されます。

(3) 関節炎や免疫性関節症(自己免疫性)

痛風と誤認されがちな関節の腫れや痛みの原因として、以下の疾患もあります:

これらは、痛み・腫れ・熱感といった「痛風と似た症状」を呈しますが、結晶性ではなく炎症性、あるいは変性性の病気です。


4. 犬猫の「痛風様症状」の診断方法

以下のような検査が実施されます:

■ 血液検査

■ 尿検査

■ レントゲン・エコー検査

■ 関節液の採取・検査(関節穿刺)

■ DNA検査(犬種によっては遺伝性の代謝異常の特定)


5. 治療法

犬や猫の「痛風様の病気」の治療は、原因に応じた対症療法および根治療法が中心です。

(1) 尿酸塩結石の場合

(2) 偽痛風や関節炎の場合


6. 予防策

犬猫における痛風様症状の予防には以下が有効です:


7. 猫の場合の注意点

猫では痛風に類似した症状はさらにまれで、関節疾患の主な原因は以下です:

結石症(尿路結石)は猫でも多く見られますが、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石が中心で、尿酸塩は非常にまれです。


まとめ:犬や猫の痛風は人間とは異なる

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