痛風の発作は尿酸が結晶化して、 尿酸塩結晶となってしまった結果、起こる激痛です。膝から下に現れることが多いですが、発症部位は関節になります。
たまに、「踵(かかと)」が痛むという話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、どのような場合に痛むのでしょうか。
◆ 痛風発作が起こりやすい部位
尿酸値が高くなればなるほど、痛風発作(痛風関節炎)のリスクは高くなります。血清中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症となり、痛風関節炎、痛風結節、尿路結石などの尿酸塩沈着症の原因であることがすでに分かっています。(痛風結節と尿路結石については「痛風の症状とは」を参考に)。
関節が腫れあがり、激痛を伴う痛風発作の起こる最初の部位は、足の親指の付け根の関節である中足趾節関節(ちゅうそくしせつかんせつ)が70%を占めます。もちろん、その他の関節にも起こることがあり、膝から下の関節に多く発症します。
◆ 踵(かかと)に痛みが現れる場合
踵(かかと)が痛みはじめた場合、痛風が考えられるのでしょうか?そもそも、痛風は、関節に尿酸塩結晶が析出した結果おこる病気なので、関節でない場所に痛風が起こるのでしょうか?
尿酸値が高いことにより、尿酸塩結晶が関節以外の腱や皮下組織、靭帯付着部などに付着する可能性がありますが、これは痛風結節(米粒や豆粒くらいに膨らむ)と呼ばれていて、痛みを伴いません。
踵(かかと)の痛みに関して考えられるのは、踵(かかと)周辺の関節(距腿関節など)が痛風により炎症を起こしていて、その痛みを踵(かかと)の痛みと(勘違いして)感じているケースです。
その他にも踵(かかと)は生活の中で負荷のかかりやすい部分なので、過度に力が加わった場合に痛む可能性もあります。自己判断は避けて、病院を受診しましょう。
◆ 痛風の確定診断
痛風の診断は、関節液を調べて、その中に尿酸塩結晶があることで確定します(痛風結節があると証明されることも、痛風であるというひとつの診断基準になります)。
また、下記の米国リウマチ学会の診断基準11項目のうち6項目で当てはまれば、痛風という診断が可能になります。日本では血液検査をして尿酸が7.0mg/dLを超えること、そして関節の腫れ具合で痛風と判断することが多いです。
下記の基準に当てはまれば、踵(かかと)付近の距腿関節などの関節の痛みを、踵(かかと)自身の痛みだと感じてしまっている可能性が高くなります。
・2回以上の急性関節炎の既往がある
・24時間以内に炎症がピークに達する
・単関節炎である
・関節の発赤がある
・第一MTP関節の疼痛または腫痛がある
・片側の第一MTP関節の病変である
・片側の足関節の病変である
・痛風結節(確診または疑診)がある
・血清尿酸値の上昇がある
・X線上の非対称性腫張がある
・発作の完全な寛解がある
*MTP関節:中足趾節関節(ちゅうそくしせつかんせつ)のこと