ビタミンと聞くと、体に良いというイメージが強いのではないでしょうか。ビタミンには色々な種類があることが知られていますが、痛風にはビタミンが良いものなのでしょうか、それとも良くないものなのでしょうか。
ここでは、数あるビタミンから、ビタミンAをピックアップします。
◆ ビタミンAとは
ビタミンは三大栄養素と言われる、炭水化物・脂質・たんぱく質と並んで、私たちが生きていく上で欠かせない栄養素です。ビタミンは、これら三大栄養素がうまく働くように助ける機能を持ちます。
このように、私たちの体に欠かすことのできない重要な栄養素ですが、残念ながら体の中で作ることができないので、日々の食事から摂取する必要があります。もちろんビタミンAも例外ではありません。
それでは、どの食品にビタミンAは含まれているのでしょうか。ビタミンAが多い食品は、動物の内臓である、鶏レバーや豚レバー、あんこうの肝やウナギ、バター、乳製品、卵などに含まれます。
これらの食品を見て、気がついた方もいるのではないでしょうか。痛風になった場合に食べない方がいい、プリン体を多く含む食品に該当しています。プリン体の多い食べ物は、尿酸値を上げて痛風になってしまう可能性があります。
レバーやあんこうの肝は、高プリン食に該当しますので、痛風になっている場合、尿酸値が高い場合は、食べないように気をつける必要があります。
◆ ビタミンAを適量摂れば痛風が防げる?
ビタミンAが多く入っている食品は、痛風に良くないから、全く食べない方がいいのかというと、そんなことはありません。ビタミンAは、体になさすぎると、夜や暗い所で目が見えにくくなる夜盲症(鳥目)という病気の原因になったり、粘膜が弱くなるなど、体に弊害が出てくるので、適量摂取することは重要なことです。
また、「分子栄養学」という分野を作った三石巌さんによるとビタミンAを適量摂っていれば痛風が防げるというのです。それについて軽く触れてみたいと思います。尿酸がナトリウムと結びつくと結晶化しますが、これを白血球が攻撃することにより炎症を引き起こすのです。これが痛風発作です。
尿酸は元々血液などの体液に溶けにくい物質ですが、体内温度の低下(足は体内の中で冷えやすい)や血液のpHが酸性方向に傾くとさらに溶けにくくなります。
その結果、溶けきれなかった尿酸がナトリウムと結合し、結晶になってしまいます。
その尿酸の結晶が関節に溜まり、この溜まった結晶に免疫細胞である白血球が攻撃するときに、炎症が起きて動けないくらいの激痛になるのです。
三石さんによると尿酸がナトリウムではなく「糖たんぱく」と結合すれば、痛風が起こらないというのです。そして、この糖たんぱくを作り出すにはビタミンAが必要なのです。ですので、三石理論ではプリン体が多くなく、なおビタミンAが多い食品が痛風を防ぐためにはベストということになります。
◆ ビタミンAを摂るために選ぶべき食品
では、ビタミンAを摂るには、どのような食品を選べばよいのでしょうか。レバーなど、痛風の原因となるプリン体をたくさん含んでいるものは極力避ける必要がありますが、実はビタミンAを含む食べ物は、動物性の食品以外にも、にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜からも摂れるのです。
緑黄色野菜は、β-カロテンが含まれており、このβ-カロテンは体の中に入るとビタミンAになります。野菜なら、プリン体を気にすくことなく、ビタミンAを摂取することができます。
にんじんやほうれん草、モロヘイヤなどはビタミンAの量も多く、一度にある程度の量を食べることができるので、日常の食事に取り入れると良いのではないでしょうか。
また、緑黄色野菜は、尿をアルカリ性にしてくれる食品なので、痛風の原因である尿酸を排泄しやすくしてくれます。動物性食品に含まれるビタミンAも、レバーやあんこうの肝、ウナギは避けた方が無難ですが、卵や乳製品でしたらプリン体は少ないので、緑黄色野菜とこれらの動物性食品を組み合わせて、食生活に気をつけると良いです。