この記事は痛風歴15年の男性に書いていただきました。
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私は痛風が原因で慢性腎臓病(痛風の合併症)になりました。この記事では慢性腎臓病について、そして私の体験談をお話しします。
慢性腎臓病とは何?
慢性腎臓病とは尿蛋白が陽性だったり、腎臓の排泄機能が正常かどうかの数値(GFR)が60未満の状態です。
腎臓病にはいくつかの種類があり、その一つが慢性糸球体腎炎です。腎臓内で血液中から老廃物を取り除く糸球体という器官の働きが低下して生じる病気です。腎臓を少し切り取って調べる腎生検という検査を行うことで診断が確定します。腎生検をする際には腰に麻酔注射をし、エコーで腎臓の位置を確かめながら行ないます。数日入院をする必要があります。
腎生検が終わった後は傷口がふさがっていないため、数時間ほどベッドの上で安静にしていなければなりません。私もほとんど動けない状態で長い間過ごし、トイレに行きたくなっても尿瓶を使わなければならないので苦痛でした。検査の結果、慢性腎臓病の診断が確定しました。
私の場合は痛風の合併症として痛風発症の15年後ぐらいしてから慢性腎臓病を発症しました。高尿酸血症により結晶化した尿酸が長年の間、腎臓に沈着したことが原因です。
クレアチニンなどの数値はどんな状況なのか
慢性腎臓病の進み具合は血液中のクレアチニン値で知ることができます。男性ですと1.1以下が正常ですが、慢性腎臓病の発症後は1.5を超え、場合によっては2.0程度にまで上昇しました。この値が2.0をはるかに超えてくると、腎機能が悪化していき、人工透析が必要となります。どのくらいの値で人工透析が必要かというと、一般的に8.0を超えたあたりと言われています。
慢性腎臓病の進み具合の正確な診断はクレアチニン値だけでなく、GFRの値でも判断されます。GFRが15未満になると慢性腎不全と診断されます。
GFRはクレアチニン値と年齢と性別から導き出される数値
慢性腎不全になると、老廃物が溜まって中毒を引き起こしますので、溜まった老廃物を体外に排出するために人工透析(or移植)が必要となります。
どのような薬をどれくらい飲んでいるのか
腎機能低下を防ぐために、慢性腎臓病を悪化させる高血圧に効果がある降圧剤を処方してもらい飲んでいます。最初はアジルバという薬を1日1回10mgの錠剤を飲んでいましたが、下がりすぎると立ちくらみの症状が出てくるので、今はニューロタン25mgを1日1回飲んでいます。
慢性糸球体腎炎ではステロイドパルス(ステロイドの大量投与)による治療が行われます。最初にステロイドパルス治療を受けた時は5日間入院し、1日1回3日間点滴でステロイドを注入しました。ステロイドパルスは2ヶ月ごとに全3回行いました。2回目以降は通院のみで1時間ほど横たわって点滴を受けました。
ステロイドによる血糖値の上昇や骨粗鬆症などの副作用を予防するため薬の種類が増えました。
慢性腎臓病診断後の食事や食生活
腎機能低下の原因となる塩分や蛋白質の摂取を控えるために、栄養士による食事指導を勧められ、指導を受けました。腎機能が低下してくると、夜間頻尿や貧血などの症状も出てきますので、慢性腎臓病をこれ以上進行させないために食事制限が必要なのです。ただし、この制限を毎日厳密に守ることは難しいので、1週間全体としての量を決め、微調整しています。
肉や魚には蛋白質が含まれていますので、通常の半分の1/2切れ程度に制限しています。ただし、カロリーが不足すると蛋白質を消費しますので、糖分や脂肪分の多い食事をしてカロリーを補わなければなりません。ちょうどダイエットでカロリー制限をしている人とは全く逆の食事になります。塩分は1日6gまでに抑えるため、ラーメンの汁や味噌汁はできるだけ飲まないようにしています。
日常生活では、激しい運動を控え、ストレスを溜めないようにし、腎臓に負担をかけないような生活を心がけています。
私は慢性腎臓病がかなり進行するまで全く気づきませんでした。腎臓の異変はなかなか自覚できませんので、痛風に罹って長い人は一度合併症の検査のために腎臓を調べてもらうのもいいですよ。