関節の痛みに良いとされている成分にグルコサミンがありますが、グルコサミンと聞くと、サプリメントとして販売されていることで、広く知られています。関節の痛みに良いのなら、痛風による関節炎の症状も改善することができるのでしょうか。
◆ グルコサミンとは
グルコサミンは、甲殻類であるエビやカニの殻に含まれるキチンの主成分です。サプリメントなどの市販のグルコサミンは、甲殻類のキチンから作られているのが一般的です。
◆ グルコサミンと関節の関係
グルコサミンは、変形性関節症に良い成分とされていますが、なぜでしょうか。変形性関節症は、軟骨が磨り減ることで関節に変形が起こり、その結果痛みが生じて歩きにくくなる症状が出ます。
軟骨の成分には、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などがありますが、グルコサミンはこれらの材料になります。そのため、グルコサミンは関節に良いといわれるのです。グルコサミンは、通常は体内でグルコースとグルタミンから合成されますが、年齢が上がるにつれてグルコサミンを作る能力は低下していきます。
◆ グルコサミンは飲むと効く?
それでは、関節の健康を維持するために、グルコサミンを食物と同じように口から取り入れると、効果的なのでしょうか。グルコサミンが、軟骨の成分であるヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸の材料になるのは確かですが、私たちの体は、経口で取り入れたものは、小さな物質にしないと、体内に吸収できない仕組みとなっています。つまり、口から取り入れたグルコサミンは、アミノ酸や糖に分解されて吸収されるのです。
このように分解されてしまった場合、確実にまたグルコサミンとなって、患部に届き、軟骨の成分になるとは言い難くなります。残念ながら、グルコサミンは、飲んでも必ずしも関節を良くするというものではないのです。通常、軟骨がすり減って関節が痛む場合は、ヒアルロン酸製剤を直接関節に注射するのが外科では一般的な治療法です。
◆ グルコサミンは痛風の炎症に効く?
痛風になると関節が腫れるので、関節というキーワードから、グルコサミンを使えばいいのでは?と連想するかもしれませんが、グルコサミンは口から取り入れても、分解されてしまうので、炎症を起こしている足先の関節に、元通りのグルコサミンとなって、ピンポイントでたどり着くことは難しいのです(順天堂大学が「グルコサミンには炎症抑制効果がある」と言っていますが、そもそも炎症箇所にグルコサミンそのものが届かないのであれば意味ありません)。
痛風は、尿酸値が高いことが原因ですので、サプリメントを飲む以前の問題として食生活の改善、肥満対策、ストレス対策が必要です。何度もいいますが、グルコサミンを飲んでも痛風を初め変形性関節症などにも効果はありませんので、売り煽った宣伝に騙されないようにしてください。
テレビCMではタレントが膝をぐるぐる回して、いかにもグルコサミンが効果あるかのように振る舞っていますが、あれはサプリメントでは薬事法により「膝に効果がある」とは言えないからです。
[参考記事]
「痛風になりやすい食べ物(食品)、なりにくい食べ物」