痛風の前段階とも言える、高尿酸血症の患者さんや、すでに痛風になっている患者さんは、色々な合併症を起こしてしまっているケースも珍しくありません。合併症にはどのような状態があるのでしょうか。
◆ 合併症とは
合併症と聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。病気をいくつか持ってしまうイメージがあるかと思いますが、合併症とは、ある病気を持っていると、その病気のせいで引き起こされる別の病気のことです。
◆ 高尿酸血症の合併症
血清中の尿酸値が7.0mg/dL以上の高尿酸血症を持続すると、尿酸塩の沈着による合併症が起こる可能性が高くなります。尿酸は体に溜まりすぎると、ナトリウムとくっついて結晶(尿酸塩結晶)になってしまいます。すると、この結晶は関節や、内臓などに溜まります。
この尿酸の結晶が、体のあちこちに溜まりだすことを、尿酸塩沈着症と言いますが、痛風関節炎(痛風発作)や痛風結節、痛風腎、尿路結石と言われる病気は尿酸塩沈着症のひとつです(参考記事「痛風の症状とは」)。
高尿酸血症に加えて、この尿酸塩沈着症の痛風発作や尿路結石などが起こると、2つの病気を持っていることになるので、合併症という診断になります。
◆ 高尿酸血症と生活習慣病
高尿酸血症になると痛風発作など尿酸塩沈着症の合併症を引き起こしますが、これとは別の生活習慣による合併症も引き起こす可能性があります。
高尿酸血症の患者さんは、生活習慣が悪化している方も少なくはなく、このことが合併症の要因になっていることもあります。この合併症として挙げられるのは、メタボリックシンドローム(肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病など)です。
最近は、食生活の欧米化が進み、高尿酸血症になる方は増え続けていますし、同時にメタボリックシンドロームを合併する患者さんも増えています。
◆ 痛風の発症と肥満
「尿酸値が高いこと」と「肥満」はかなり関係深いもので、肥満度が高いことが原因で、高尿酸血症や痛風が出現することもあります。
肥満とは、体の中の脂肪組織が過剰に溜まってしまい、細胞が肥大した状態のことです。高尿酸血症と痛風、さらに肥満を合併していては、治療も長く辛いものになってしまいます。
肥満の基準であるBMIは、次の式で計算されますが、この値が25を上回って増加するほど痛風の発症リスクは高まります(普通体重の基準は18.5から25未満)。
体重kg ÷ (身長m)2 適正体重= (身長m)2 ×22
(「keisan」で簡単に計算できます)
合併症を起こさないためにも、自分のBMIが普通体重の基準値をオーバーしていたら、体重を減らすようにしてください。
私が痩せるためにお勧めしているのが糖質制限ダイエットです。糖質制限ダイエットはお米やパンなどの炭水化物をなるべく食べないで、タンパク質や脂質を増やす食事法ですが、効果が出るのが他のダイエット法と比べて早いのが特徴です。
[参考記事]
「糖質制限食で食べてもいい野菜、ダメな野菜」
「糖質制限の疑問③食べていい、食べていけない食べ物って何?」