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痛風は遺伝するの?

 

 痛風は、遺伝するものなのでしょうか?痛風は、基本的には食生活などの乱れから起こることがほとんどですが、中には痛風の発症に関わる遺伝子が関わっている場合もあります。

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◆ 尿酸値に影響する遺伝子は存在する

 痛風は遺伝するのかと言われると、痛風そのものが遺伝するわけではありませんが、「痛風の発症」に関係する遺伝子は見つかっています。

 痛風は、プリン体が分解されてできる尿酸が結晶化して、体のあちこちに溜まることで発症します。この尿酸値に大きな影響を及ぼす遺伝子は存在するので、その遺伝子の変異を持つと高尿酸血症や痛風になりやすくなります。

 しかし、尿酸値に大きく影響を及ぼす遺伝子の変異が現れる確率は、それほど高くありません。つまり、絶対に尿酸値が上がって絶対に痛風になる!という遺伝子(PRPP遺伝子、UMOD遺伝子など)の変異を持つ人は希なのです。

 ですが、尿酸値に影響は及ぼすけれども、その影響はそこまで強くない遺伝子(ABCG2遺伝子、SLC2A9遺伝子など)も存在します。例えば、ABCG2遺伝子は、尿酸の排泄に関係する遺伝子ですが、この遺伝子に変異が起きて、機能低下を起こすと尿酸の排泄が健康な人と比べて難しくなります。痛風の患者さんの80%に、このABCG2遺伝子の変異がみられ、変異の起こり方によって、尿酸排泄の機能に差が出ることもわかってきています。

 このような遺伝子の変異のせいで、尿酸値が高くなりやすい体質になる可能性はあります。これにプラスして、生活習慣の乱れが重なってしまうと、尿酸値が基準値をオーバーし、高尿酸血症から痛風になってしまう場合もあります。

◆ 家族に痛風患者がいる場合

 自分の家族に痛風になった人がいる場合、尿酸値に影響を及ぼす遺伝子の変異が自分にもある場合もあります。しかし、痛風になりやすい生活習慣が似ていることから、発症することも考えられます。

 子どもの頃から食べる量が多く、さらには両親がビールなどのお酒を良く飲む食生活の場合は、それが普通になっています(アルコールも肥満も痛風の原因になる)。大人になって同じような食生活を続けていると、知らず知らずのうちに体の尿酸値が上がって、痛風になってしまうこともあります。

 痛風の発症の原因である尿酸値が高くなる背景には、尿酸値が高くなる遺伝的な体質が関係する場合もありますが、もともとの家族の生活習慣の乱れの方が大きいケースもあります。

◆ 遺伝病で高尿酸血症になる場合

 尿酸が過剰に作られるタイプの遺伝病のひとつに、「PRPP合成酵素亢進症」があります。この遺伝病は尿酸の材料であるプリン体が体の中でたくさん作られるので、ここから過剰な尿酸ができてしまいます。そうして、最終的に高尿酸血症になり痛風を引き起こします。

 また、余分な尿酸は体の外に出さなければなりませんが、排泄が困難になる遺伝病のひとつとして、「家族性若年性高尿酸血症性腎症」があります。この遺伝病を持つと、若いころから尿酸がうまく排泄されず、高尿酸血症になってしまいます。さらに、腎障害も起こし、30~40歳代になると末期の腎不全になります。この遺伝病はウロモジュリン(UMOD)遺伝子の突然変異から起こり、家族内に多く発症する遺伝病です。

[参考記事]
「痛風になりやすい体質は存在する」

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